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第8回文学フリマの感想とか(超長文)の補足というか言い訳

前に書いた文章、様々な角度からご批判いただいたり、いろんな方をクサクサッとした気分にさせてしまったようで、申し訳なく思っています。それで、まあ、火に油かもしれませんが、書き足しでもしようかと思いました。

属性とかについて

この部分で、わーと言われてしまったのが、なんとも心外だったりするのですが、区別は反感を生むってのに対して僕は浅はかだったとは思う。でも、ここではどこかを差別したり排除したりする意図はなかったし、大体区別すること自体が論旨の中心ではなかったということで、どうか勘弁してほしい。ちなみに購入志向のところでは、僕は小説系3属性では区別してない。

ただ、「文学フリマ以外の即売会に参加しているサークル」=「ジャンル小説を書くサークル」、もしくは「ジャンル小説を書くサークル」=「文学フリマ以外の即売会に参加しているサークル」としているように読めるのは、僕の読書傾向(猛烈な偏読)からくる偏見であろうことは否定しない。ただ、僕のこの偏見も論旨ではない。

で、なんで小説系サークルを3つに分けるという一見意味のないようなことをしたのかというと、まず個別のサークルの活動がどうこうではなくて、文学フリマがどうあってほしいかというところから話がしたくて、「文学フリマにしか参加しない(他の即売会に参加しない)」サークルが一定数あることに、文学フリマの独自性が見えてると思ってるから、そこに焦点をおいた。でもそこが独特だからといって、「文学フリマはこういうサークルの為にあるから、他はよそへ行け」とは断じて思ってない。

文学フリマの独自性に僕がこだわるのは、文学フリマの理念が、その経緯である大塚英志の論文(「不良債権としての『文学』」(「群像」2002年6月号))にあるように、「既存の流通とは別の、『文学』が流通する新しい市場」の形成を目指すところにあると思ってるからである。ここで「文学」が指しているものは、広い意味での「文章表現による芸術・あるいは商品」で、文学フリマが一介のイベントであることに留まらずに、明らかに大袈裟であるが、新しい価値観を形成する象徴になるべきとまで、僕は思っている。
だから、文学フリマが、コミティアなど「既存の、漫画中心の流通市場」と同じ系統に取り込まれてしまうべきではない。
で、ここで誤解しないでほしいのは、文学フリマに参加しているところはコミティアとかに出るな、とか、他の即売会に出てるようなところは文学フリマにくるな、と言ってるわけでなくて、自分の商品をどの市場にのせるかというのは、それは単に各人の選択の問題である。もちろん一般の商業出版についても市場という意味で、文学フリマと別のものでありながら、対立するのではなく並立しているのだと考える。(それははっきり理念に書かれている)

例えば一般参加者の感想とかで「ラノベ系が目立つ」というのがちらほら見えるが(まあ、僕もそういう印象持ったわけだけど)、そういうことで、じゃあ、既存の即売会(市場)と一緒じゃん、という風にはならないで欲しい。で、前の文章ではここで僕の立場と偏見が出てしまって不味い文章になってしまったわけだけど、これはけして「コミティアとかにも出れそうなサークル」が参加することを問題としてるわけではない。むしろ「コミティアとかには出れそうもないサークル」が、経験値のために目立ってる分野を見て、新しい市場を作ることを放棄しないで欲しいということだ。これはまったく逆のことが言えるわけで、「文学フリマってのはブンガクブンガクしてるところが出るんでしょ」という風に敬遠されるのも良くない。僕はすごい偏読で、ジャンル小説はほとんど読まないんだけど、同じように「俺はSFしか読まない」とか、「私はBLしか読まない」みたいな人も参加できるような文学フリマになってほしい。


市場について

僕がコミュニティと称したのは、「市場としての文学フリマそのもの」を指している。コミュニティというのは血縁とか情感を基礎としたつながりを意味する場合があるから、価値観の共有って意味でアソシエーションとかいったほうが良かったかもしれない。まあ、社会学のことはよくわからないけど。
とにかく文学フリマが市場として独立するにはどうしたらいいのかと考えて、僕は買った本の感想を書くことにしている。これは、僕も読むから君も読んでよ、みたいな気持のつながりを主目的にしてるわけではない(読んで欲しいけどね)。こういうつながりだけでは限界があるし、あとあと面倒くさくなってくる(読んで欲しいけどね)。
それよりも文学フリマに何があるのか、ということを明確にすることを重視している。今のところバラバラにサークルが存在しているのを、一旦文学フリマという皿の上に全部並べて、そこから把握してみようと。それで自分もその皿に乗ってみようと。絵と違って文章はパッと見で善し悪しが分からないから、こういうことは必要じゃないかなあと。
感想・批評なんてのは自分の関心のある範囲でしか書けないからいろんな人に書いて欲しいとは思う。ま、書き手全員が全員、よその感想を公開しなきゃいけないとは思わないけど、同じ土俵に立っていそうな人のことは気にしたほうがいい。書き手がそういう意識を持てば、読み手である一般参加者も文学フリマの中で本を選んだり、新しいものを見つけたりすることに意欲的になってくるとおもう。

あ、ここの人なんて読み手専門だと思うけど、冊数がすごいうえに、きっちり批評もやっててすげえなあ。すっごい貴重だなあ。
by lol_5 | 2009-05-30 21:48 | 文学フリマ
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