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第9回文学フリマ読書感想その1

「コルキータ」牟礼鯨(西瓜鯨油社

前に買った本と同じ世界観で、交わったもの全てが40日で死んでしいく呪われた高級娼婦と、彼女に恋した青年の運命を軸にしつつ、大帝国の地方反乱とその鎮圧までを描く。

娼婦の造形が、なんとなく森茉莉「甘い蜜の部屋」のモイラを髣髴させる。ただ、文体は森茉莉さんみたいな芳醇濃厚な感じではなく、かといって枯れてるわけでもなく、重からず軽からずで質実が整っていて、ファンタジー読み慣れていない(むしろ毛嫌いする向きもある)私でも特殊な世界観が受け入れられて読みやすい。

後半の展開が、内乱の動向に注視しすぎて、タイトルでもある娼婦の描写とのバランスをやや欠いてる気がするのが個人的に不満だが、一から世界観作り上げてるだけあって、構成が重層で、視点の切り替えとかもうまくて、飽きさせない工夫がみられる。

あと、個人的なことで、偽私小説書きだった私は、最近「書かれた小説」についてその著者、作中の語り手、それから読者の三者関係が自分のなかで消化しきれなくなって小説書けなくなっちゃったんだけども、著者の「世界図書館」っていう概念(第8回文学フリマのサークル紹介参照)からなのか、この作品はその三つがほぼ同一(「世界図書館」で発見された物語の下において、その著者は作中の語り手でもあり、また読者でもある)になっているような気がして、なんとなくうらやましく感じた。
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by lol_5 | 2009-12-12 14:21 | 文学フリマ
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