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第10回文学フリマ読書感想(3)

「ドールハウスの童話」佐藤

3本の「童話」を収録。内容は説話の構造をきっちり踏まえた(1本毛並みの違うのあるけど)王道でリーダブルな作品だが、はたして童話の読者層である小学生とかが文学フリマにきたりとか、文学フリマで買った本を子どもに読ませたりすることがあるのだろうか。概ね実際に読んでるのはある程度の大人の方々であろう。

そんなことは作者も承知であろうに、あえて童話の体裁、文体で、<君の知っている学級委員長の三倍は真面目でした。>などといった語りかけを仕掛けてくる。それを30前のおっさん(私だけど)が読んだりして「ああ、子ども扱いされてるわ」とオギオギするのだ。

前作「山猫」では怪談の講釈調、前々作「ピーピングダイアリー」では日記の盗み読み、文学フリマなどで配布されているフリーペーパーでも、「友人S」という謎のパーソナリティの人物の一人称で佐藤氏と作品を紹介している。
語りの位相をずらすことによって読者が作品にアクセスする際にワンクッションを置かせて、作品と読者の間に不思議な関係を生み出させるのが佐藤氏の魅力であると思う。小説ならではの楽しみでもある。
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by lol_5 | 2010-08-21 11:51 | 文学フリマ
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