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第12回文学フリマ読書感想(「感応ノイズ」)

「感応ノイズ」Lumiere

「ROCK音楽×創作小説」のアンソロジー集。〈音楽からインスパイアされたオリジナルの物語〉とのこと。6人の作家で短編8本収録。以下収録作2篇の感想

霜月みつか「感情ショートライン」
 思春期の少年がいじめられっこの同級生に対して抱く、グロテスクな恋愛感情とその発露を描いている。
若い人の同人小説を読んでいると、思春期もの、あるいは「五月病小説」をよくみかける。そういう作品の大概は単に「現在」の不遇を嘆いているだけで、スポーツしたり、社会人になったり、一人暮らししたりすれば、すっかり忘れてしまうような類のものだ。
 しかしながら霜月さんの作品は、思春期ものでありつつも、それが「いずれ終わる」とわかっているような、要するに思春期に酔えない、醒めた雰囲気がある。前に感想書いた國學院大學文藝部の茂木万穂さんの作品とも近い印象を受けた。
ビルなんとかロマンに限らず、少年少女を扱った小説で一番大事なのは、書かれない未来をどう捉えるかにあると個人的には思う(「車輪の下」みたいな反則もある)。
彼女の作品は思春期のあとにとり残されたもの、それに視線が残るように描いている気がする。
これからいろいろ書いたものを、いろいろ読んでみたいとは思わせる。

牟礼鯨「それだけは言わないで」

 辺境都市に20年取り残された、忘れられた寄せ集めの師団。奇怪な表現と硬質な幻想はガルシアマルケスの風情。牟礼鯨さんの作品の特徴は、ここに文章があって物語があるのは当然だ、ていうようなある種傲慢にもとれるような存在感だと思う。西瓜鯨油社は無期限活動休止だってね。これを読んで、改めてそのもったいなさを感じた。
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by lol_5 | 2011-06-19 14:53 | 文学フリマ
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