カテゴリ:文学フリマ( 60 )

第13回文学フリマ読書感想「猫紫」

やらやら「あたらしいスポーツの話」「卓球革命」(猫紫)

野球・サッカー・卓球の各種スポーツについての革命的、というかタガの完全に外れた戦術を描いた掌編小説。
トンデモスポーツでいうと、イナズマイレブンとかテニスの王子様とかの方が大概ひどいが、この作品はそれらと違ってそもそも温度が低く、まえがきやあとがきで「(そのスポーツのことは)よくわからない」と作者本人のコメントあるように、各種スポーツへの関心のなさが作品から滲み出ている。
興味ないのになんでスポーツ物を書くのかという疑問を持つ人もいるだろうが、知らない人特有の「なんでこんなルールなの?」という思いを作品にまで昇華した、しょうもない知的好奇心に惚れた。
無料配布でもらったものはあんまり期待しないんだけど、これは良かった。
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by lol_5 | 2011-12-17 10:39 | 文学フリマ

第13回文学フリマ読書感想「ながしろばんり作品集vol.1」

ながしろばんり作品集vol.1「ちょこっとカオス」(書肆べう)

B6サイズ8ページの非常にコンパクトな装丁に、不条理な夢のような掌編が8本掲載。紙面もユニークな挿絵のいれ方というか、構成が意識されてて奇譚の雰囲気が醸し出されてる。
動物とか虫をモチーフにしたものが多く、おどろおどろしい不安よりは、ユーモラスな気配の方が強い感じ。
ことばの選び方がなんというか、どことなく古風で丸みのあるようで、それが奇怪な内容とまったり混ざりあって面白かった。

個人的なお気に入りは、徹頭徹尾なんだかわからないままの「槁木死灰」と、スケールが大きくてなんとなく可笑しい「けえけえ鳥の巣にて」
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by lol_5 | 2011-12-07 22:35 | 文学フリマ

第13回文学フリマ読書感想「突き抜け4」

「突き抜け4」突き抜け派

妙にキラキラしたお誕生日モードみたいな兄ちゃんの表紙と、変なおっさんの写真が挿絵にはさまっており萎えるが、中身はわりとまとも。6人の作家で6作品収録。

阿藤智恵「マチゾウ」
マチゾウというあだ名のなんだかぼんやりした男を中心として、周囲の人間の関わりをぼんやりと描写した掌編。人と人の出会いや思い出、つながりを、ややとぼけた調子でゆるやかに何気なく描いており、気兼ねなく読めて面白かった。あっさりしているけど奥行きのある、こういう作品は好きです。

ひのじ「甘い乳」
親戚の老婆に引き取られた少女の視点で、同じように老婆の世話になっている妙齢の女性との交流を描く。結構長めだが穏やかに話は進む。まあ、タイトル通りのど定番の少女小説。文体はですます調だが、品はしっかり保っているのであざとくない。何時代なのかよくわからない設定だが(近現代だろうけど)、雰囲気には引き込まれる。ラストシーンの女性の肌の描写にはぐっときた。パクりたい。
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by lol_5 | 2011-11-25 08:23 | 文学フリマ

第12回文学フリマ読書感想(「感応ノイズ」)

「感応ノイズ」Lumiere

「ROCK音楽×創作小説」のアンソロジー集。〈音楽からインスパイアされたオリジナルの物語〉とのこと。6人の作家で短編8本収録。以下収録作2篇の感想

霜月みつか「感情ショートライン」
 思春期の少年がいじめられっこの同級生に対して抱く、グロテスクな恋愛感情とその発露を描いている。
若い人の同人小説を読んでいると、思春期もの、あるいは「五月病小説」をよくみかける。そういう作品の大概は単に「現在」の不遇を嘆いているだけで、スポーツしたり、社会人になったり、一人暮らししたりすれば、すっかり忘れてしまうような類のものだ。
 しかしながら霜月さんの作品は、思春期ものでありつつも、それが「いずれ終わる」とわかっているような、要するに思春期に酔えない、醒めた雰囲気がある。前に感想書いた國學院大學文藝部の茂木万穂さんの作品とも近い印象を受けた。
ビルなんとかロマンに限らず、少年少女を扱った小説で一番大事なのは、書かれない未来をどう捉えるかにあると個人的には思う(「車輪の下」みたいな反則もある)。
彼女の作品は思春期のあとにとり残されたもの、それに視線が残るように描いている気がする。
これからいろいろ書いたものを、いろいろ読んでみたいとは思わせる。

牟礼鯨「それだけは言わないで」

 辺境都市に20年取り残された、忘れられた寄せ集めの師団。奇怪な表現と硬質な幻想はガルシアマルケスの風情。牟礼鯨さんの作品の特徴は、ここに文章があって物語があるのは当然だ、ていうようなある種傲慢にもとれるような存在感だと思う。西瓜鯨油社は無期限活動休止だってね。これを読んで、改めてそのもったいなさを感じた。
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by lol_5 | 2011-06-19 14:53 | 文学フリマ

第12回文学フリマ気になるサークル

公式サイトのサークル一覧をのぞいて、個人的に気になったところをピックアップしました。他のサークルは現物見てまわろうと思います。


サークル一覧(A-E)
A-15 マイノリティ
ある意味ストレートなサークル名につられてサイトを見てみたら、バックナンバーの表紙が軒並み怖くて気になる。
B-02 one coin shop
紹介文にルサンチマンを感じるので気になる。
B-19 まめもやし
サークル紹介のテンションのぐちゃぐちゃぶりが心配で気になる。

サークル一覧(F-J)
G-06 フィロソフィア
紹介文が弾けているが、バックナンバーが意外と生真面目そうな内容でギャップが気になる。
G-09 ふぇにどら!!
高校のときラヴクラフト好きだったなあ、と感慨にひたって気になる。
H-01 ノンポリ天皇(芝浦慶一)
ずっと前から気になっていたが、キーワードで「精子」とあって、より気になる。

サークル一覧(K-O)
K-18 蟹交戦
昔、郵便局員の同人誌買ったとき、内容の枯れっぷりが凄かったけど、ここはどうなんだろうかと気になる。
O-10 幻視社
メンバーに名前のある渡邊利道
さんの小説を昔読んだことがあるので気になる。

サークル一覧(ア-エ)
エ-07 日本中央競馬調教師会
競馬やったことないけど、とりあえず気になる。
エ-33 翻訳ロリータ
<ハンバート感重視>というフレーズが気になる。

J-02 クラスクロカワ
J-15 たわまが
J-17 遊劇団
M-13 左隣のラスプーチン
ア-01 枡野書店+土佐有明商店
ウ-10 立命館大学ポストモダン研究会
演劇関連は全部気になる。


あと、以前文学フリマで購入し、感想を書かせていただいたサークルは今回もチェックいたします。
※以下の各サークルのリンク先は僕が書いた感想です。

C-07 DAISY CHAIN 制作委員会  
I-12  西瓜鯨油社  ※1103号室さんもいるっぽい。
I-15  佐藤  
J-05  √7/実験倶楽部  ※今回ゲストのアイヌ・ケンネル氏が書いていたサークル
J-13  新詩抄  ※今回お隣。
L-07 木曜日  
L-09 大吉エクセレント  
N-02 新波小説団  
T-06 平方二寸  ※前回ゲスト。フリーペーパー「全家畜」はおすすめ。

LOLはJ-14にいます。よろしくお願いします。
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by lol_5 | 2011-06-11 11:52 | 文学フリマ

第12回文学フリマ参加サークル分析

なんの役に立つかは知りませんが、第12回文学フリマに参加する「★小説★」のサークルの傾向を分析しました。
「このジャンルは逃せねえ」みたいな人は参考にしてください。
明日あたり、個人的に気になるサークルや、変なキーワードのところを調べてみたいと思います。

分析っつっても文字列で抽出しただけです。公式サイトにある「参加サークル一覧」より、「キーワード」および「紹介文」中に該当する文字があるかどうか検索しました。あっても関係なさそうなのは省いておりますが、かなりファジーにもやってますので、多少の漏れ、間違いはあると思います。
もちろん複数にまたがるサークルもあります。逆にどれにも当てはまらないところもたくさんあります。つうか、それが一番多いと思います。
分析したのは★小説★のみです。

個々のサークルの詳しい内容は公式サイトの参加サークル一覧見てください。

※6/11 ちょこっと修正しました。

全サークル数:533
★小説★:348
★評論★:115
★詩歌★:37
★ノンフィクション★:33


SF 32サークル
D-07 D-10 D-19 D-20 E-01 E-02 E-03 E-04 E-05 E-06 E-07 E-08 E-10 E-11 E-12 E-14 F-11 G-17 H-10 I-08 I-14 I-15 J-04 K-03 M-10 M-17 N-01 O-11 O-12 P-17 ア-15 ア-19 

ライトノベル・ラノベ 35サークル
C-11 C-20 E-02 E-06 E-08 E-10 F-02 F-09 G-01 G-18 H-10 H-12 H-15 H-16 H-17 H-18 H-19 H-20 I-01 I-02 I-03 I-04 I-05 J-06 J-20 K-09 K-10 L-6 M-07 M-15 N-06 N-09 P-14 ア-21 イ-05

ファンタジー 72サークル
A-09 B-15 C-12 D-01 D-03 D-14 E-02 E-03 E-04 E-09 E-10 E-11 E-14 E-15 E-16 E-17 E-18 E-19 E-20 F-01 F-02 F-03 F-04 F-05 F-06 F-08 F-09 F-10 F-11 F-12 F-13 F-14 F-15 F-16 F-17 F-18 F-19 F-20 G-01 G-02 G-03 G-04 G-07 G-08 G-10 H-04 H-15 H-17 H-20 I-03 I-07 I-13 I-14 I-16 I-19 J-06 J-07 J-18 K-10 K-12 L-16 L-20 M-14 M-15 M-16 N-20 O-15 P-13 Q-02 ア-15 ア-17 イ-05

ホラー・恐怖 9サークル
B-20 D-18 G-11 G-12 G-13 H-03 H-07 H-18 H-20 

怪奇・幻想 17サークル
E-14 E-18 F-07 G-09 H-05 I-10 I-17 J-01 J-19 K-01 K-03 K-05 N-03 O-07 O-20 P-13 Q-09 

純文・哲学 33サークル
A-03 A-17 B-01 C-15 D-13 F-15 F-20 G-05 G-06 H-11 H-16 J-05 J-14 K-09 L-10 L-11 L-12 L-3 L-4 L-5 L-6 L-7 L-8 L-9 M-01 M-02 M-07 N-09 O-13 O-19 P-05 Q-04 ア-21 

BL・ボーイズラブ・JUNE・ゲイ・同性愛 15サークル
C-02 D-10 E-04 E-16 J-04 J-09 M-16 N-19 Q-04 Q-05 Q-06 Q-07 Q-08 Q-09 Q-10

百合 10サークル
H-04 I-06 O-13 P-16 Q-01 Q-02 Q-03 Q-04 Q-05 Q-07 

ミステリ 31サークル
C-07 D-15 D-17 F-03 F-04 F-12 F-14 F-15 G-17 G-18 G-19 G-20 H-04 H-06 H-07 H-08 H-10 I-08 J-20 L-20 M-17 O-11 O-12 O-13 P-12 P-13 P-14 Q-04 Q-09 ア-17 イ-01

ジュブナイル・ヤングアダルト 7サークル
C-07 D-03 D-04 D-10 E-09 L-16 N-14 

児童文学 11サークル
E-18 F-13 G-16 L-14 L-15 L-16 L-17 L-19 L-2 L-20 M-20

歴史・時代 13サークル
E-01 E-08 F-11 F-20 J-18 M-06 M-19 N-12 O-02 P-09 P-13 P-19 イ-05

少女小説・乙女 8サークル
C-17 D-17 E-14 F-05 K-11 K-12 K-14 L-8

戯曲・脚本・演劇 7サークル
J-02 J-13 J-14 J-15 J-17 M-13 N-17

ショートショート・超短編 9サークル
D-05 D-06 D-07 I-17 I-18 K-05 P-01 P-03 ア-15 

ノベルゲーム 4サークル
B-17 D-17 D-18 P-12 

電子書籍 14サークル
A-02 A-06 B-05 F-20 J-13 J-14 M-05 N-03 P-10 P-11 P-12 Q-04 イ-04 イ-05 

大学文芸サークルOB含む 37サークル
A-01 A-05 A-07 A-08 A-17 A-19 A-20 B-06 B-07 B-16 B-18 C-01 F-07 G-20 H-08 J-10 J-11 J-19 L-15 L-3 L-6 M-04 M-09 M-17 N-09 N-10 N-11 N-16 N-17 N-18 O-01 O-04 O-05 P-20 ア-17 ア-18 イ-06 

ジャンルが★小説★以外で小説を扱っていそうなサークル 22サークル
Q-15 R-11 S-03 S-04 S-10 S-11 S-12 S-15 T-01 T-03 T-07 U-09 U-11 U-16 V-12 V-15 ア-12 ウ-07 ウ-15 エ-32 エ-38 エ-44
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by lol_5 | 2011-06-10 00:37 | 文学フリマ

第11回文学フリマ読書感想6(ラスト)

買ったものは大概読み終わったのですが、その他気になった作品を以下に簡単に。

新詩抄「マルグリット・アンヌ・レニエ」
クローゼット・オペラ・ブッファ(読む喜劇オペラ?)と銘打ってあり、レーゼドラマ(読む台本)ってのはあるけど、オペラでは成立するのか、と実際一時間くらい悩んだ。でも筋はシンプルでとっつきやすく、ことばや登場人物も丁寧でわかりやすくて、オペラを知ってる人なら音楽も頭にうちに想起されるのかも、と思った。素人目でも掛け合い(二重奏か)のところはリズムを感じる。

新波小説団「団誌3号」
所収作では柳井美奈人氏「不死身のキノコ同盟!」に、グロテスクなアイディアを強引にロマンスにしたてようとする奇抜さを感じた。

合同誌「全家畜を見つけた!」
LOL12号に寄稿いただいた平方二寸氏と、CUBE氏による合同フリーペーパー。平方氏は漫画、随筆、小説と多方面で独特な観点を示す奇才だが、CUBE氏の「喜望峰遊園地」も、90年代に少年期を過ごしたものにとっては感慨深いモチーフをうまく用いた小説だった。

「DAISY CHAIN vol.7」
表紙の綺麗さは他の追随を許さない。羽岡元氏のエンタメ小説が毎回300枚越えの気合入りまくりで、一度は皆さん読んでみてはいかがだろうか。

あとは岡崎祥久氏にはぜひとも今後も参加してもらいたい。西岡兄妹氏とか、一般市場で活躍している方々と軒を並べるのは参加する身としてもウキウキする。他の作家さんとかも単行本未収録作などを電子化とか同人誌にして売っちゃえばいいのに。
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by lol_5 | 2011-02-22 00:25 | 文学フリマ

第11回文学フリマ読書感想5

茂木万穂「ぼくたちは喉の底で笑う」(若木文学2010)

深夜テレビ好きな、いじめられっ子の男子小学生と、〈ぐしゃりと笑〉う、クラスで孤立している女の子の、不器用で不細工な交流。
鬱屈した子どもの日常を淡々と描いているけど、不思議と嫌な感じはしない。未来が想像されるからだろうかと思った。それは希望とかそんなんじゃなく、ただの時間の流れとしての、今より先の世界。
綺麗になんかならなくたって、夢なんかみせなくたって、わかりあったりなんかしなくなったって、よどみの中から抜け出せなくたって、ひとは救われるんだろうと、読んでてなんとなく感じた。

若木文学は僕の出身サークルの冊子であるが、約10年かかわってきて、うまいとかそんなんじゃなく、この人は「書くべきこと」を書いてるな、と菊地さん(現在LOL所属ですが)以来に思った。

他の「若木文学2010」所収のうちでは、野木健二郎「紅茶の煙草」、河野海月「或る犬の話」を面白くよんだ。
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by lol_5 | 2011-02-21 00:28 | 文学フリマ

第11回文学フリマ読書感想4

アイヌ・ケンネル「メルセデスどこへ行く」(実験倶楽部 No.9)

「タバコとベンツ」の、いわゆる2ちゃんコピペから、都市伝説や怪談など、巷に散乱する物語のかけらをつなぎあわせて、最終的に「桃太郎」になりかける。なんだろう、空想的な観察力とでもいおうか。
イカニモ系な前衛小説のようだが、その物語を繋ぎとめる(物語にまきこまれていく)「僕」の語りが、(たまに細かいことをきにするが)気負いもやる気もない感じで、しかも、登場人物がなんとなくみんな仲良くなるので、奇想が鼻につくことなくのんびり読める。
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by lol_5 | 2011-02-16 23:57 | 文学フリマ

第11回文学フリマ読書感想3

没法子「玩物喪志」(木曜日 No.27)

過去を「再体験」できる仮想空間を開発するも、自らその世界に閉じこもってしまった「救世主」を、『利益のため』『理想のため』『自分のため』理由をまとめきれないまま連れ戻そうとする主人公。
わりと流行りの設定のように思えるが、面白いのは救世主も主人公も中年の冴えないおっさんであるところ。
二人とも幼稚なルサンチマンを抱えてるが、なんだか中年であるがゆえの子供っぽさに思えて、なんとも遣る瀬無い。
上記の人物造形に加えて、主人公のいびつな女性観(欲望?)が視覚化されていたり、乾いた文体でだらしない行動を描写したりして、読んでる間も読み終わった後も、モヤモヤしてしょうがない。
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by lol_5 | 2011-02-13 14:41 | 文学フリマ