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第9回文学フリマに参加します。

第九回文学フリマ
開催日 2009年12月 6日(日)
時間 開場11:00~終了16:00(予定)
会場 大田区産業プラザPiO →会場アクセス
(京浜急行本線 京急蒲田駅 徒歩 3分、JR京浜東北線 蒲田駅 徒歩13分)

サークル席はH-8です。LOL(ろる)10号を持ってきます。前回は贅沢に印刷所で製本しましたが、今回は〆切が間に合わなかったので、昔のわら半紙刷りに戻ります。
記念すべき10号はLOL史上もっとも薄くなると思われますが、内容は良いと思います。たぶん100円。

目玉は新家智実氏の、羊水みたいなふしぎな男の子小説(羊水って実物見たことないけど)「きよらなる海
あと、わたしが一生懸命吐きそうになりながら書いた変態くさい路上演劇「ソネザキシンジュウ
それから石橋英明氏のくだらない雑文(ほんとうにくだらない)が、ところどころに掲載されています。
(各リンク先でさわりの部分が読めたりします。)
あとなんかあるかも。


よろしくお願いします。

ちなみに上記文学フリマサイトや当日のパンフレットに記載されてるうちのサークル情報は「ほとんど嘘」です。正確には「結果としてほとんど嘘になった」です。具体的にいうと「湯葉みたい」と、企画記事のくだりが嘘です。
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by lol_5 | 2009-11-30 21:28 | 文学フリマ

小説「きよらなる海」冒頭

小説「きよらなる海」
新家智実

 髪の隙間から見える彼女の首筋が、かすかに汗ばんでいる。いつもは雪のように純白なはずのそれは、今日は心持ち火照って薄赤く色づいているように見えた。
 折笠弓奈(おりかさゆみな)は、本当は髪を下ろしたところの方が好みだけれど、斜め後ろからこうやって見る分には、横でまとめている今の髪型も悪くない。九月になったとは言え、まだ毎日暑い。日焼けをしていない細い首筋は、普段は真っ直ぐな黒髪に守られていて、こんな時期にしか拝めない。
 弓奈は熱心に動かしていたペンを止めた。数学の問題が解けたのだろう。周りからはもうペンの音はしない。解けた訳ではない。既に試合放棄している。
「難しい問題だったかな。では江田出来るか?」
 数学教師は弓奈の前の席の江田千歳を指名した。江田はつかえながら式を最初のところだけ答えた。
「あとは……分かりません」
 江田はきっぱり言った。江田はいつも強気な口調だけれど、たまにこういう時にギクリとさせられる。教師を怒らせてしまいそうで。教師は気にもとめないで続けた。
「そうか。惜しいところまでいったんだがな、じゃあ折笠」
「はい」
 弓奈が指名された。弓奈の声は綺麗だ。比較的高くて細い。普段からあまり声を張って話すタイプでもないけれど、授業中の声はもっと小さい。ただその小さい声で滞りなくはっきりと数式を答える。弓奈の話し方は聞いていて心地よい。
 今日は運が良い。英語と生物と数学と三回も授業中に弓奈の声が聞けた。弓奈はうちのクラスでもダントツで成績が良いから、それほど積極的な方ではないけれど指名される回数が多い。
「その通り。完璧だ。よく勉強しているな」
 数学教師は数式を答え終えた弓奈にそう言った。弓奈はどういう顔をしているだろう。困ったように笑うだろうか。それともただ困った顔をするだけだろうか。後ろからはただ首だけで軽く会釈をする様子だけが見える。
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by lol_5 | 2009-11-30 21:21 | LOLバックナンバー

戯曲「ソネザキシンジュウ」導入

辻演劇「ソネザキシンジュウ」
屋代秀樹

登場人物
おとこ
おんな

 舞台は往来であり、官憲などの妨害の及びにくいところならば、どこでも良い。電信柱、街路樹、あるいは街灯などにおんながしばりつけてある(柱のなければ椅子などで代用する)。おんなの衣装はできれば和装などがよい。抱きしめるようにまきついたなわが、着物のうちから、おんなのしなやかな肢体を透かしている。なわの及ばぬところ、衣の端から、柔らかな刃のようなすあしがほの見える(ただし、上記の風情が表現できるならば、おんなはどんな衣装を選んでもよい)。おんなは目を閉じ、うつむいていて、往来からその容貌をうかがうことは難しい。
おとこがおんなのあしもと、おんなのあしの甲に、そのほおがふれるようにして、あおむけにだらしなく倒れている。おとこの衣装は何でも良い。おとこの手のとどくところにラジオプレーヤーがおいてある。自然と、ラジオプレーヤーが作動する。公共放送のアナウンサーのような、艶やかな男の声で、ニュースのようなものが流れはじめる。
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by lol_5 | 2009-11-30 21:19 | LOLバックナンバー